【築土八幡神社】雄雌2匹の猿が刻まれた珍しい庚申塔と新宿区内で最古の鳥居が今に残る神社

神楽坂からほんの少し外れた場所にある築土八幡神社つくどはちまんじんじゃ)。
1200年前に創建された古い神社は、交通量の多い通り沿いの石段を上がった小山の上にひっそりと佇んでいます。

東京都新宿区の最古の石造りの鳥居2匹の猿の姿がめずらしい庚申塔など境内の様子を紹介しますね。

築土八幡神社の見どころ

築土八幡神社の所要時間は15分くらいです。

築土八幡神社の入り口

JR飯田橋東口から約7分の場所にある築土八幡神社です。
一の鳥居は「納」と書いてある石柱ともう一つの石柱の間に木が掛っています。

神社の入り口には「田村虎蔵先生顕彰碑」入口と書いてある石碑がありました。
田村虎蔵先生を失礼ながら存じ上げないのですが、素晴らしい功績を上げられた方なのでしょうね。
境内に行ってからのお楽しみです。

急な石段

この石段は普段運動をしていない私には息がきれるくらいの急斜です。
先日、健康目的でこの石段を何度も往復している方を見かけましたが、そんな利用法があるんだと感心しました。

石段はきれいに掃除がされていています。
上がって行く程、車の多い道路の喧騒が遠のいていくのを感じます。
両脇には側溝があるので大雨になっても階段が滝のようにはなりませんね。

新宿区最古の石の鳥居

この鳥居、古いな
見上げてみると鳥居の真ん中に「築土八幡神宮」と書いてある額があったと思われますが、落ちてしまったのでしょう。
額受けの金具だけが残っていますね。

石の鳥居は石柱をくり抜いたところに、横の石が挟まっています。
その上はただ乗せているだけで、これでバランスをとっているんですって!
倒れない技法はすごいですね。

振り向いて登ってきた石段をみると、大通りを走っている車が小さく見えます。
随分と高いところに来たなと思ったら、何やら柱石に字が掘ってあります。

柱石には、「奉寄進」と言う文字。
「ほうきしん」と読むのだと思ったらどうやら「たてまつる きしん」らしい。
寄付いたしますってこと。
その横には「八幡宮石鳥居」と書いてあります。
誰が寄付したんだろう。

もう一方の柱石も見てみます。
享保十一丙午歳
享保11年は丙午の年だったのでしょうか。

「十一月十五日」とあります。
享保(きょうほう)っていつ?
家に帰って調べてみると1716年~1736年までの期間で江戸時代中期。

享保十一年は1726年ってこと?
ってことは、
297年前の鳥居
えっー、まじ?!
8代将軍徳川吉宗の時代ですって!
思わず、柱石を撫でてみたりして。

で誰が寄付したんだ?
うーん、よく読めないけれど「従四位下行豊前守丹治真人○○」かな?
最後が何と書いてあるか薄くて読めません。

で、家に帰って調べてみると「黒田直邦(くろだなおくに)」という大名が奉納されたようです。
この鳥居は街の移り変わりを300年近く見続けていると思うと、改めて感慨深いですね。

階段の傾斜を使った大きなすべり台がある公園

石段を登って行くと右脇に公園がありました。
階段の脇なので傾斜を利用した大きなすべり台があります。

これは子供たちが喜びそうな滑り台だ!
急な斜面だけあって上るための鎖までありますよ。
階段の下にママチャリを停めて、階段辺りで幼稚園児がお母さんと一緒にいるのを見かけることがありますが、なるほど、この滑り台で遊んでいるのですね。

境内まであともう少し。
この石段も結構古いようで、手すりの緑色も剥げています。

階段の脇に黄色い花が咲いていました。
登り階段はきついけれど、きれいな小花が咲いているのを見ると、ふっと気持ちが軽くなります。

到着しました!

奥の朱い社殿が目に留まります。
境内はこじんまりしていますが、きれいに整備されています。

振り向いてみると、ずいぶんと高い所まで登ってたことがわかりますね。
横断歩道が小さく見えます。

手水舎とお供水

手水舎の水はちょろちょろと流れ出ていて、網の隙間から水をすくいます。
中の水はとても奇麗で、少々冷たかったです。

手水舎の奥にの雑草の中に、赤字で「御供水(おこうすい)」と書かれた井戸のような
貯水筒のようなものがありました。
立ち入り禁止の鎖が引かれていています。

雄雌の2匹の猿が刻まれためずらしい庚申塔

手水舎の横に絵の刻まれた石塔がありました。

お猿さんの顔と腕が落ちている!これはなんだ?
庚申塔というものです。
江戸時代に庶民が崇拝した庚申信仰と言うもので、この塔があるところでは地域の集まりがあったんですって。

この神社は集会場にもなっていたのかし?
2匹のお猿さんの庚申塔、1664年に作られたということは・・・。
359年前の物!驚きですね!

よく見ると、月と太陽も刻まれています。
右側に立っている猿は雄で左側の座っている猿は雌のようです。

庚申塔は、3猿(見ざる、言わざる、聞かざる)が描かれていることが圧倒的に多い中で、2匹の猿と桃という図柄は非常にめずらしいものなんですって。

雄の猿の顔は目がまんまるで、口を大きく開けて笑っているように見えます。
かわいらしい顔をしていますね。
右手で桃の木の枝を引っ張って引きちぎろうとしているように見えます。
左手の手のひらは無くなっていますね。

左下に座って少し前かがみになっているメスの猿の顔が落ちています。
顔だけが落ちてしまっているなんてちょっとかわいそうですね。
左手で枝を持って桃を見つめているようにみえます。

ご神木のイチョウの木

境内でひと際、背の高いイチョウの木がご神木です。
見上げてしまいますね。
ちょっと左斜めに傾いていますが、緑の葉が青々と茂っています。

深い縦皺のある灰色の樹肌はカサカサしていて、少し弾力がありました。
イチョウの扇形の葉がかわいいですね。

宮比神社

ご神木の横には小さな神社がありました。
下宮比にあった旗本屋敷にあったものを明治時代にこちらに移されたようです。
だから宮比神社というのでしょうか。

大宮売命(おおみやのめのみこと)が祀られています。
宮殿の平安を守る女神で家内安全・家族和合のご利益があるそう。
まずはお参りをさせていただきます。

神輿子と積樽

イチョウのご神木の前には瓦屋根の神輿庫と積樽がありました。
庫の格子戸の向こうには、神輿が2基あります。

奉納された酒樽が積まれています。
白鷹は灘の名酒だそうですよ。

神輿庫の中を覗いてみると大層古いと思われる神輿が2基あって、ガラス越しに写真におさめてみました。
写真は神輿の一部しか写せていませんが古さと素晴らしさが少しでも伝われば良いです。
これは漆塗りの神輿で1678年に制作されたものだというのですから今から345年も前のものですよ!

すごい古い神輿だということは一目でわかります。
朱い鳥居の後ろにある鏡が日差しを反射しているのがわかりますね。

白木の神輿は1866年制作されたもので、157年前のものです。
こんなに古い貴重なものが残っているのだから、どこかに展示すればよいのにね。

田村虎蔵先生は童謡「金太郎」を作った方

田村虎蔵先生をたたえる碑が置かれていました。
音符が描かれているから音楽関係者のようですね。

近づいてよく見てみると、童謡「金太郎」を作った方なんですね。
音符と歌詞が刻まれていました。
子供のころに聞いたことのある童謡なので、親近感がわきました。

色鮮やかな社殿

社殿です。
朱い色がきれいですね。

社殿向かって右側の狛犬です。
台座には津久戸と書いてあります。築土(つくど)と津久戸(つくど)同じ読み方をするのですが、この辺りに津久戸と言う地名があります。

前足ががっしりしていている狛犬さん。
豪快に笑っているように見えます。

一方は桜をバックに歯が見えている狛犬さん。


ご祭神は
・応神(おうじん)天皇
・神功(じんぐう)皇后
・中哀(ちゅうあい)天皇です。

お参りをさせていだたきます。

賽銭箱の横に置かれていた札です。
他の人の良いところを取り入れ、自分の欠点を補うという心掛けの大切さを説いた言葉をいただきました。
1人で頑張りすぎるのではなく、お互い補えあえばいいと言われると少しほっとしますね。

築土八幡神社の御朱印とパンフレット

築土八幡神社の御朱印は書置きの御朱印になります。
社殿正面の右側にある社務所にていただけます。

社務所にパンフレットが置かれて、その間に御朱印が挟まれていました。

御朱印代はいただいていないとのこと。
御朱印はありがたくいただきましたが、無料と言うのも申し訳ないので賽銭箱にお気持ちを入れさせていただきました。

築土八幡宮付近のホテル

「ヴィアイン飯田橋後楽園(JR西日本グループ)」

「ヴィアイン飯田橋後楽園(JR西日本グループ)」は飯田橋から徒歩5分の場所にあり、神楽坂までも徒歩圏内です。
築土八幡宮には徒歩で5分程です。
ホテルの隣にはスーパーがあるのでとても便利です。

東京セントラルユースホステル

「東京セントラルユースホステル」はJR飯田橋駅に隣接したビルの18,19階にあります。ドミトリー(相部屋)を備えた簡素なホステルでカジュアルな朝食ルームがあります。

フレックステイイン飯田橋

「フレックステイイン飯田橋」は簡易キッチン付きのシンプルな客室とスイートを備えた手ごろな料金のホテルです。
コインランドリー完備で、ホテルの目の前にはスーパーがあります。

まとめ

神楽坂からほんの少し外れた場所にある「築土八幡神社」は石段を登った小高い山の上に佇んでいる神社です。
新宿区最古の石の鳥居は297年前に作られたものでした。
柱石に触れてみるとひんやり冷たくて歴史の重みを感じる鳥居です。

庚申塔に刻まれていた雄と雌の2匹の猿と桃の絵図は大変めずらしいもので、360年近く前に作られたの塔が今も残っていることにびっくりしました。

境内には童謡の金太郎の歌を作った田村虎蔵先生をたたえる石碑があります。
子供のころに聞いたことのある歌なので親近感が湧きました。

社殿はこじんまりしていますが鮮やかな朱色で、お参りをするとすがすがしい気持ちになりましたよ。

神楽坂に来られた際にちょっと足を延ばして、築土八幡神社にお参りに来られてみてはいかがですか?

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